
米国知財便り
米上院、特許適格性回復法(PERA)の成立を推進 — 特許法101条の見直しに向けた動き加速
2025.10.14
米国で特許適格性(Section 101)の再定義に向けた立法プロセスが進行中です。
上院で審議が再開され、今期中の採決を目指す動きが強まっており、特に AI・医療・バイオ分野を中心に、特許戦略への影響が注目されます。
米上院知的財産小委員会のトム・ティリス議員(共和・ノースカロライナ州)は、「特許適格性回復法(Patent Eligibility Restoration Act:PERA)」の成立を任期中の最重要課題と位置づけました。
本法案は、最高裁判決により制限されてきた特許法第101条の「抽象的概念」「自然法則」等の司法上の例外を見直し、特許対象の範囲を明確化・拡大する内容です。
一方で、アダム・シフ議員(民主・カリフォルニア州)は「過度な独占を避ける必要がある」と慎重な姿勢を示しています。
10月8日に開催された公聴会では、元米特許商標庁(USPTO)長官のデービッド・カッポス氏やアンドレイ・イアンク氏らが、「現行制度の不明確さは企業の投資判断を妨げている」と支持を表明した一方、小売業界からは「PERAは単純なビジネス手法特許を復活させる恐れがある」との反対意見も出されました。
法案は、数学的公式や自然現象、未改変の遺伝子を特許対象外としつつ、人為的に改変・精製されたものは特許可能とする方向で調整されています。ティリス議員は「バランスの取れた改革」として今期中の採決を目指しており、米国の特許実務に大きな影響を与える可能性があります。
The Patent Eligibility Restoration Act –… | United States Senate Committee on the Judiciary