米国知財便り
USPTO、AIA手続における「検索開示宣言(SDD)」の任意提出制度を導入 — 審理開始判断における有利要素として考慮 —
2025.11.18
米国特許商標庁(USPTO)は、2025年11月17日付メモランダムにおいて、当事者系レビュー(IPR)および特許付与後レビュー(PGR)における新たな任意制度として、「検索開示宣言(Search Disclosure Declaration:SDD)」を導入したと発表しました。
Voluntary Search Disclosure Declarations as a Favorable Factor in Institution Decisions
(1)制度の概要
SDDは、申立人が、申立てで引用する先行技術をどのような方法で特定したかを開示する任意の書面です。提出は完全に任意ですが、USPTOはSDDの提出を、審理開始(institution)判断における“有利な要素”として考慮すると明示しています。
ただし、SDDを提出しない場合でも、申立人に不利益は生じません。
(2)SDDに記載すべき内容
SDDには、以下の情報の記載が推奨されています。
・調査に使用したデータベース・リポジトリ
・使用した検索フィールド、フィルター、分類
・クエリロジックや検索手法
・先行技術調査および検索結果のレビューに要した時間
なお、申立人は、必要に応じてSDDを「Business Confidential Information(企業秘密情報)」として指定することが可能です。
(3)USPTOによる活用目的
提出されたSDDは、審査官向けトレーニング、分類体系の改善、AIを活用した検索ツール開発など、USPTOの審査品質向上のために内部的に利用される予定です。
(4)適用時期
本メモランダムは即日発効し、特許権者の予備的応答(preliminary response)の提出期限が経過していないIPR・PGRに適用されます。
(5)今後の予定
USPTOは、制度に関する追加情報として、FAQを公開する予定としています。