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新シリーズ【クロスボーダーをまたぐ日常】鉄道編第1話-10分前まで秘密です🤫

2025.12.13

国を跨げば、ルールも変わる。

けれど本当に違うのは、制度そのものよりも「あたりまえ」の置き方かもしれません。

 

このブログでは、日米を行き来する中で気づいた、仕事と暮らしの小さな違いを、肩の力を抜いて綴っていきます。ご興味があれば、話半分くらいで読んでいただけると幸いです。

 

同じ列車に乗っているのに、国が違うだけで緊張する場所が変わります。改札で止まる日本、ホームで待たされるアメリカ。

 

今回は、そんな違いから見えてくる、日米の「考え方の差」を考えてみたいと思います。

 

アメリカ国内の長距離移動といえば飛行機が定番ですが、数時間程度なら大都市間を結ぶアムトラックを利用することもあります。空港ではチェックインや保安検査に時間を取られがちで、「移動より待ち時間のほうが長いのでは」と思うことがあるからです。

 

アメリカで初めてニューヨークからボストンへアムトラックで移動したとき、いきなり面食らいました。チケットは買ったのに、いっこうに電光掲示板にホーム番号が出てこないのです。迷っているうちに、グランド・セントラル駅では出発10分前になって、ようやくホームが表示されました。どうやら「考えるより待て」が正解だったようです。

 

理由を聞くと、折り返し運用が複雑で、遅延も日常茶飯事。直前まで最適なホームを調整する必要があるため、あえてギリギリまで発表しないのだとか。

 

日本の感覚だと「そんな大胆な運用で大丈夫なのか」と心配になりますが、これがアメリカの大都市では普通の光景です。

 

チケットの扱いも対照的です。日本では駅に入るときも出るときも改札を通りますが、アムトラックでは乗るときと車内でチェックが済めば、降りるときはそのまま改札口からスルーして外へ。改札で止められる心配はなく、少し拍子抜けするほどです。

 

この違いは鉄道発展の歴史にありそうです。アメリカの鉄道は西部開拓を支えた長距離移動が主役で、車内検札が前提。一方、日本は通勤・通学の大量輸送が中心となり、改札で人の流れをきっちり管理する文化が定着しました。几帳面な国民性も、ここではしっかり仕事をしています。

 

もっとも、日本にも例外があります。箱根ロープウェイで強羅から桃源台に着くと、出口ではチケットを見せずにそのまま外へ。区間運賃で料金が事前に確定していることや、遊覧船・バスとの接続状況を考えると、改札を設けない運用にも一定の合理性がありそうです。理由は違えど、「降りるときはスルー」という点では、どこかアメリカ的です。

 

結局のところ、鉄道の運用は国民性というより、利用者数や路線構造、歴史への最適解なのでしょう。日本では「正確さ」、アメリカでは「柔軟さ」。同じ列車でも、走っているのはレールだけで、考え方はずいぶん違うようです。