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私たちの中にある小さな宇宙シリーズ【第2回】耳垢という小さな宇宙
2026.03.27
耳の中がかゆくなり、指を入れてみると、耳垢の塊がコロッと出てくることがあります。
気になって耳鼻科で診てもらい、奥にたまっていた耳垢を取り除いてもらったところ、耳の中の違和感はすっと消えました。
ところがその後も、なぜか右の耳だけ耳垢がたまりやすく、時折、ゴロゴロとした違和感やかゆみを覚えます。
この現象が気になり、耳垢について少し調べてみることにしました。
耳垢は単なる「汚れ」ではなく、外耳道を保護するための分泌物であり、皮脂や汗、古くなった皮膚などが混ざり合ってできています。
外から入ってくるほこりや細菌を防ぐ役割もあり、いわば耳の中を守るバリアのような存在です。
本来、耳には自浄作用が備わっており、顎を動かすことで耳垢は少しずつ外へ運ばれていきます。
そのため、通常は頻繁に耳掃除をする必要はないとされています。
そのような自浄作用があるにもかかわらず、綿棒などで耳掃除を繰り返すと、かえって耳垢を奥へ押し込んでしまうことがあります。
また、入浴時に耳の中に水分が入ると、耳垢が湿ってまとまりやすくなり、塊として残りやすくなることもあるようです。
私の場合も、これまで綿棒を使って耳掃除をしていたことや、入浴時に耳を洗ったときに水が入っていたことが影響していたのかもしれません。
さらに興味深いのは、耳垢には「乾性」と「湿性」があり、その違いが遺伝によって決まっているという点です。
日本人を含む東アジアの人々には乾いた耳垢が多く、欧米やアフリカ系の人々には湿った耳垢が多いとされています。
この違いはABCC11という遺伝子によるもので、わずかな遺伝的差異が、体の特徴として現れているのです。
また、宇宙飛行士の研究では、無重力環境では耳垢が自然に外へ移動しにくくなるため、地上とは異なるケアが必要になることも知られています。
耳垢というごく小さな存在が、重力という大きな力とも関係していることは、なかなか興味深い事実です。
こうして見てみると、耳垢は単なる「不要なもの」ではなく、人体の精巧な仕組みや遺伝、さらには環境との関係までを映し出す存在であることが分かります。
耳の中の小さな塊。
そこには、人体の仕組みや遺伝の歴史、さらには宇宙にまでつながる物語が隠れているのかもしれません。
そして、普段は意識することのないこうした小さな現象の中にも、私たちの知らない世界が静かに広がっているのだと思います。
次回は夢という小さな宇宙について書いてみたいと思います。