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岸本外国法事務弁護士事務所

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『HOKUSAI ― ぜんぶ、北斎のしわざでした。展』に行ってきました

2025.11.25

今月30日が最終日の『ぜんぶ、北斎のしわざでした。展』に、何とか駆け込みで間に合いました。

 

9月の開催時には「まだ余裕がある」と思っていたのに、結局ぎりぎりになる —— パーキンソンの第1法則にいう「人は与えられた時間だけ仕事を延ばす」を地で行く形になってしまいました (笑)。

 

昼過ぎにCREATIVE MUSEUM TOKYOへ向かうと受付には長蛇の列。

人気の高さを実感しつつ、King & Prince の高橋海人くんの音声ガイドを借りて鑑賞を始めました。

 

300点を超える展示は圧巻で、まず読本(よみほん)からスタート。

入館してすぐの壁に巨大サイズで再現された『椿説弓張月(ちんせつ ゆみはりづき)』の挿絵(左下の絵)が現れ、いきなり圧倒されました。人物・渦・波・背景の細部まで緻密に描き込まれ、放射状の線(いわゆる集中線)など、現代漫画につながる表現の精巧さに驚かされます。

 

 

北斎は平均寿命が40歳前後の時代に90歳を超える長寿を全うしたといわれ、その長い創作人生の中で、北斎漫画、読本挿絵、波の表現、富嶽百景(絵手本)など、次々と画風を変化させ多様な技法を生み出しました。

 

音声ガイドによれば、「漫画」という言葉を“気の向くままに自由に描く”意で用いたのも北斎が始まりだそうです。効果線や集中線、枠を飛び出す描写、建物の大きさを強調するために屋根をあえて枠からはみ出させる技法など、現代漫画につながる表現を200年前にすでに実践していたことには驚かされます。

 

改めて感じたのは、北斎の絵が放つ圧倒的な「画力(えぢから)」です。

白黒なのに色彩を感じさせ、小さな画面でも存在感があり、横構図が一般的な場面をあえて上下に描くなど、常識にとらわれない発想が随所に見られます。

 

思えば、子どものころは人物画も風景画も描くことが大好きでした。しかし、進学や社会人生活を経るうちに、次第に筆から遠ざかってしまっていました。ところが、わずかな時間の鑑賞だったにもかかわらず、「また描いてみたい」という気持ちがふっと湧き上がってきたのは、不思議なことです。今回の展覧会は、その思いをそっと後押ししてくれたように感じます。