米国知財便り
【CAFC判決速報】In re SAP America, Inc.(Fed. Cir. No. 25-132) ― Fintiv基準撤回をめぐる企業側請願を一斉棄却 ―
2025.11.07
米連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は11月6日、Motorola、Google、Samsung、SAP America などが提出した請願をすべて棄却しました。
各社は、USPTO副長官(当時長官代理)Coke Morgan Stewart 氏による「Vidalメモ(Fintiv判断制限メモ)」の撤回が、適正手続(Due Process)および行政手続法(APA)に違反すると主張していました。
CAFCは、「IPR審理を求めること自体は憲法上の権利ではなく、Vidalメモも法的保護利益を生じさせるものではない」と判断。長官による審理開始判断は行政裁量の範囲内にあり、手続変更も違法ではないと明確に述べました。
この判断により、PTABの運用方針をめぐる行政裁量の広さが改めて確認され、今後はFintiv基準に基づく審理却下(特許権者寄り判断)の増加が予想されます。
― 実務上のポイント ―
・裁量確認: USPTO長官によるIPR審理開始可否の判断は、引き続き強い行政裁量の下にある。
・Fintiv復活: 地方裁判所訴訟の進行を理由に、PTABが申立を却下する事例が増加する可能性。
・Sotera stipulationの限界: 提出してもFintiv回避が保証されず、ケースバイケース運用へ。
・今後の動向: SAPなどが連邦最高裁へ上告(certiorari申立)を行う可能性はあるが、受理の見込みは低いとみられる。
参照事件
In re Motorola Solutions Inc., No. 25-134(precedential)
In re SAP America Inc., Nos. 25-132, 25-133(nonprecedential, Nov. 6, 2025)