欧州特許庁（EPO）、日本特許庁（JPO）、米国特許商標庁（USPTO）は10月21日、米国アレクサンドリアのUSPTO本部にて第43回三極会合を開催しました。世界知的所有権機関（WIPO）もオブザーバーとして参加し、AIや先進的ITツールの導入による特許審査の質向上と業務効率化について議論が行われました。

三極地域の産業界団体（BusinessEurope、JIPA、AIPLA、IPO）も参加し、技術別・地域別の特許出願動向やAI関連発明に関する法的課題について意見交換。各庁の導入ツールやシステムの実務経験の共有を通じ、AI活用による審査の整合性と透明性向上の可能性が確認されました。

各庁長官・副長官コメントの要約

・USPTO John A. Squires 長官

AIツールは審査官の支援と特許品質向上に不可欠。技術進化に合わせたガバナンスが必要であり、AI活用の透明性・精度を確保する方向で三極協力を進める。

・EPO Steve Rowan 副長官

AI・ITツールは世界の特許制度の質向上に重要。EPOは高品質・迅速・法的に堅牢な特許の提供を維持しつつ、グローバルな制度強化のため新技術導入を推進。

・JPO 河西 康之 長官

AI技術は特許審査を変革する潜在力を持つ。審査の効率化・高度化に向けAI活用が不可欠であり、法的課題への対応もリードしていく。

・WIPO Lisa Jorgenson 副事務局長

出願処理や翻訳・分類におけるIT・AI活用を拡大。加盟国の導入支援や実務リソース提供を通じ、進化する特許環境への対応を推進。

今後、三極特許庁は「三極AIワーキンググループ」を設置し、共通の「三極AIビジョン」策定に向け協働。成果は次回第44回三極会合（2026年、オーストリア・ウィーン開催予定）で報告される予定です。

USPTO press release