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岸本外国法事務弁護士事務所

米国知財便り

USPTO、クレーム解釈だけを変えて並行IPRを申し立てることを制限

2025.06.28

IPR申立人(CrowdStrike, Inc.)は、同一の特許(US 9,954,872 B2)のクレーム1-21に対して、クレーム解釈だけを変えて2つのIPR(IPR2025‑00068及びIPR2025‑00070)を申し立て、PTAB(特許審判部)は審理開始決定を行いました。

これに対し、USPTO長官補代理 Stewart 氏は2025年6月25日、 Director Review decision(Paper 25)で、クレーム間に重複があることを踏まえ、PTABはクレーム用語の解釈を行い、IPR申立のうち1件のみについて審査を開始すべきであったと説明しています。

長官レビューでは、Institution(審理開始)決定を取り消し、PTABに係属事件を差し戻しました。この長官レビューは、「precedential(拘束力のある先例)」ではなく「informative(拘束力のない参考)」と指定されました。 PTABがパラレルIPRの乱用を制限し、クレーム解釈は申立人の責任で行うというポリシーが示された重要な判断です。今後は、どちらか一つに絞った形式で、クレーム解釈の明確化を含めた申立が求められ、複数のIPR申立の正当性が厳格に審査される方向性が明確化されました。

CrowdStrike, Inc. v. GoSecure, Inc., IPR2025-00068 & IPR2025-00070, Paper 25 (Stewart June 25, 2025)