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岸本外国法事務弁護士事務所

米国知財便り

USPTO、特許適格性に関する宣言書(SMED)ガイダンスを公表 — 機械学習・先端技術分野の適格性判断に明確性を追加

2025.12.05

USPTOは12月4日、特許適格性(Subject Matter Eligibility)に関する宣言書(SMED:Subject Matter Eligibility Declaration)の取扱いについて、2本の新たなガイダンスを公表しました。

 

本ガイダンスは、特許適格性判断における証拠の扱いに関する出願人・実務者・審査官の疑問に応えるもので、スクワイアーズ長官が就任以降掲げる「明確で一貫した審査実務」の一環です。

 

【背景:機械学習分野での先例指定判決も後押し】

 

USPTOは11月4日、機械学習モデルの機能改善が「実用的応用(practical application)」に該当し得ると認めた In re Desjardins 判決を先例として指定しました(11月5日付け小欄記事)。これは、急速に発展する分野の技術であっても、具体的な技術的改善を伴う場合には特許適格性が認められることを改めて示したものです。

 

【今回のガイダンスのポイント】

 

1. 審査官向けメモランダム(SMEDの評価方法)

SMEDは任意提出の宣誓書として、技術的改善や出願時の技術水準などの客観的な事実証拠を示すために利用可能。

適切に提出されたSMEDは、審査官が証拠記録の一部として必ず考慮し、証拠の優越(preponderance of the evidence)基準で評価する必要がある。

MPEPおよび関連判例に沿った形で、SMEDが適格性判断にどのように寄与するかを示す具体例も提示。

Memorandum – Subject Matter Eligibility Declarations

 

2. 出願人・実務者向けメモランダム(SMEDの作成・提出方法)

SMEDは特許適格性だけに特化した独立の宣誓書とすることが望ましい(他の法定要件(新規性・進歩性等)と併せると記録が複雑化し、審査が困難になるため)。

原明細書の補完目的に使うことは不可。

発明のクレーム内容と関連付けた客観的かつ技術的な証拠を示すことが鍵。

Memorandum – Best Practices for Submission of Rule 132 Subject Matter Eligibility Declarations (SMEDSs)

 

【実務への影響】

 

今回のガイダンスは、手続きそのものを変えるものではないものの

技術的改善をどのように証拠として提示すべきか

審査官がSMEDをどのように評価するか

について明確化し、特にソフトウェア・AI/ML分野の出願における適格性判断の一貫性を高めるものです。

 

【施行時期】

 

ガイダンスは即日発効。USPTOは今後、追加の研修資料を公開予定。