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岸本外国法事務弁護士事務所

米国知財便り

USPTO、RPIに関するPTAB決定2件を先例指定解除

2026.02.09

米国特許商標庁(USPTO)は、Proppant Express Investments, LLC v. Oren Technologies, LLC および Adello Biologics LLC v. Amgen Inc. の2件のPTAB決定について、先例(precedential)指定を解除しました。

 

これらの決定においてPTABは、IPR申立人が実質的利益当事者(Real Party in Interest:RPI)の特定を修正する場合であっても、①期限制限(タイムバー)や禁反言(エストッペル)規則を回避する意図の有無、②申立人の悪意、③遅延による特許権者への不利益、④申立人による戦略的操作(ゲームマンシップ)の有無といった要素を考慮すれば、申立ての当初の提出日を維持できると判断していました。

 

しかし、これらの判断は、Corning Optical Communications RF, LLC v. PPC Broadband Inc.(IPR2014-00440、先例指定)における判断と抵触することから、USPTOは先例指定を解除しました。

 

Corning Optical 事件では、申立人がRPIの特定を修正した場合には、当該申立てには新たな提出日を付与すべきであると判断されています。

 

今回の先例指定解除により、RPIの修正と申立ての提出日との関係については、引き続き Corning Optical の判断がPTABを拘束する基準であることが改めて確認されました。

 

【実務上のポイント】

 

・RPIの特定は申立時に慎重な確認が必要

申立後にRPIを修正した場合、原則として新たな提出日が付与されるため、タイムバーやエストッペルへの影響が生じる可能性があります。

 

「善意」や「不利益の不存在」を主張しても提出日維持は期待できない

今回非先例化された決定が示していた柔軟な判断枠組みは、もはやPTABを拘束するものではありません。

 

・特に共同防衛や資金提供のある案件では注意が必要

実質的当事者の範囲が問題となりやすいため、申立前に関係者の整理と記録化を行うことが重要です。

 

特許権者側はRPI不備を戦略的に検討する余地がある

RPIの誤りや不完全な開示があれば、タイムバー違反等の主張につながる可能性があります。