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若葉の季節ならではの特権
2026.04.28
窓の外に瑞々しい若葉が光る、四月の電車。
予備校生らしき男の子二人の、屈託のない会話が耳に入ってきました。
「さあいくよ。ファーマーAはお米を作っています。ファーマーBは野菜を作っています。じゃあ、ファーマーCは何を作っているでしょう?」
一瞬の間のあと、得意げに返ってきた答えは——「くすり」。
「ファーマシー(薬局)」とかけた、なんてことのないダジャレ。
それでも、重い参考書を抱えた彼らが顔を見合わせて笑う様子に、こちらもつられて「くすり」と笑ってしまいました。
世の中では日々、複雑で騒がしい出来事が起きているけれど、今の彼らにとってそれは、どこか遠い国の出来事。
浪人生活が始まったばかりの今、彼らの世界は、目の前の参考書と、隣で笑う友人と、来年の合格という目標だけで満たされている。
そんなふうに、世間のあれこれから切り離されて、ただ純粋に「受験生」という殻の中にいられる時間は、長い人生の中でも、きっと今だけの大切な特権なのでしょう。
彼らの軽やかなやり取りを聞きながら、「いいな、この感じ」と心が解けていくのを感じました。
「来年の春、この笑顔がもっと大きな喜びになりますように」
駅のホームへ降り立っていく彼らの、少し猫背な、けれど希望を含んだ後ろ姿に、心の中でそっとエールを送りました。