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岸本外国法事務弁護士事務所

米国知財便り

最近のUSPTO制度改正・運用の見直し ― PTAB及び査定系再審査(Ex Parte Reexamination)を中心に

2026.07.23

以前「米国知財便り」でご紹介した長官レビュー(Director Review)申請期間の延長に続き、USPTOでは2026年に入り、PTAB及び査定系再審査(Ex Parte Reexamination)の制度・運用の見直しが相次いでいます。本稿では、そのうち企業知財部や実務家に影響がありそうな最近の動向をご紹介します。

 

1.Director Review申請期間を30日に延長

 

過去の記事でもお伝えしたとおり、USPTOは、PTABの審理開始決定(Institution Decision)に対するDirector Reviewの申請期間を、従来の14日から30日に延長しました。また、例外的な事情がある場合には、更なる期間延長も認められることとしています。

 

これにより、当事者は審理開始決定後の事情変更も踏まえてDirector Reviewを検討しやすくなりました。詳細については過去の記事をご参照ください。

 

2.特許権者によるPre-Order Paper制度を導入

 

2026年4月以降に請求された査定系再審査については、特許権者がUSPTOによる再審査開始(SNQ判断)前に意見書(Pre-Order Paper)を提出できる制度が導入されました。

これにより、再審査開始の可否を判断する初期段階から、特許権者の意見が考慮されることになります。

 

3.RPI(実質的利害関係者)の開示義務を提案

 

USPTOは現在、査定系再審査を請求する第三者に対し、実質的利害関係者(RPI: Real Parties in Interest)の開示を義務付ける規則改正案についてパブリックコメントを募集しています。

 

Federal Register :: Requirement To Identify All Real Parties in Interest to a Third Party Request for an Ex Parte Reexamination

 

もっとも、現時点では提案段階であり、また、請求人が秘密保持を希望した場合には、その情報はUSPTO内部で管理され、特許権者には開示されない仕組みが予定されています。

 

したがって、本改正案は匿名請求そのものを廃止するものではなく、USPTOが実質的利害関係者を把握することにより、法定の禁反言(statutory estoppel)や虚偽証明への対応を強化することを目的とするものと理解されます。

 

4.おわりに

 

これらの見直しは、いずれも手続の透明性や適正性を高めることを目的としたものです。特に査定系再審査については、近年その利用が増加していることもあり、今後も制度・運用の見直しが続く可能性があります。日本企業としても、今後の動向を注視しておくことが望まれます。